「能登りふれっしゅ&ゲーミング・リゾート構想(仮称)」について
企画・編集 珠洲にラスベガスを創る研究会
(平成15年1月)
はじめに/何故カジノなのか?/構想の基本コンセプト/構想のイメージ/具体的な構想/構想がもたらす効果/構想の実現に向けて

  はじめに
 日本海側で本州の真ん中に突き出た能登半島の最先端に位置する市邑、石川県珠洲市(すずし)では、昭和29年の市制発足時には3万8千人を数えた人口は、現在では半分近い2万人を切り、急速に超過疎化・超高齢化現象が進み、このままだと10年後には1万2千人になるであろうと考えられています。
 全国どこの過疎地でも見られることではありますが、第1次産業である漁業は年々漁獲高が減少し、農業においても価格の低下と後継者不足に悩まされ、血路が見出せません。昨今では公共事業の予算に頼った土木建築業が主な産業と言わざるを得ませんが、構造改革といわれる今日、それすら永続するとも思えません。
 1960年代に起きた能登半島ブームで栄えた観光産業も下降の一途で、能登住民の悲願である平成15年開港予定の「能登空港」には最後の地方空港と称されつつ、官民挙げて利活用を検討していますが、「これ」という目玉の無い状態ではどうなることか不安を抱かずにはいられません。
 地方分権が急速に進むこの時代には、市民が大きな「夢」を共有し、自立・快適・活力がある地域を創造、そして実現をしなければ、地域は淘汰されます。
 私たち「珠洲にラスベガスを創る研究会」は、能登そして石川県の振興、延いては日本国の明るい未来、そしてグローバルな観点から考えて、なぜか先進国で日本だけが認可していない「カジノ」を核とした、観光経済特区を珠洲市蛸島町に創設し、国際観光都市として、能登空港の存在価値も大いに高めたいと考えます。
 この巨大産業の創出には、当会が設立されて以来3年で、国内では予想以上の進展があり、政府税制調査会(首相の諮問機関)からの提言・議員立法を目指す国会議員80名余りによる議員連盟「国際観光産業としてのカジノを考える議員連盟」の設立・経済財政諮問会議でのカジノ特区の提案・東京都や大阪府、愛知県、宮崎県、静岡県、沖縄県、三重県など数え上げれば限が無い程の地方の知事を初めとする首長が、政府に積極的な要請を始めています。
 石川県でも、昨年2月に県議会でカジノ観光特区が話合われ、共同通信社の全国知事アンケートでは、我が谷本正憲知事が容認姿勢であり、この構想を前向きに検討する土壌が生まれています。
 住民発動型で全国的に構想を発信し続ける「珠洲にラスベガスを創る研究会」では、確実にこのすばらしい産業を能登に立地するために、官民挙げての取り組みを切に要望するものであり、都市部や他地域に先鞭をつけられる事無く、能登観光経済特区が実現する事を願って止まないものです。

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  何故、カジノなのか?
 今日、日本の産業構造を従事人口別にみると、50年前に、50%を超えていた農業を中心とする第1次産業は僅か5%に激減、ものつくりの製造業・第2次産業は30%に止まり、サービス関連の第3次産業が65%という比率に急ピッチで激増している。
 高度賃金加工国家発展に生かされた日本民族の「ものつくり」神話を貶すつもりはありませんが、中国を筆頭とするアジア他国の超低賃金労働によるものつくりの躍進に、目を背けずにはいられません。
 数年前、オランダのジャーナリスト、K.V.ウォルフレンの「人間を幸福にしない日本というシステム」は「富める国の貧しい国民」という異常な日本的システムを鋭く批判しました。「ものつくりともの消費」一辺倒に陥った日本人は、「ゆとりある幸せな時間つくりや楽しい時間消費」という、人生で一番大切な「商品」や、その商品を生み出す産業を、意識的に排除し置き去りにしていると。
 現在、世界中の様々な産業、商品の内、最高の輸出額をあげている産業(商品)は、意外と思われる人が多いと思いますが、「自動車」「医薬・化学製品」「食料」「コンピュータ」「エネルギー」「鉄鋼」などのすべての「ものつくり」関連産業を尻目に実は「国際観光産業」なのです。80年代に米国の未来学者ハーマン・カーンが「21世紀は観光の時代だ」と予言した通りの現象が現れています。
 世界の国際観光収入は現在4546億ドル(54兆5520億円)であり、1位の米国からスペイン、フランス、イタリア、英国、ドイツ、中国、オーストリアと続きますが、我が日本はなんと28位であり、外国から日本に訪れる外国人数(インバウンド観光客)が、国内から外国に旅立つ日本人数(アウトバウンド観光客)の4分の1、金額は8分の1という、観光貿易大赤字というお粗末さです。
 さらに言わさせて頂くと、韓国釜山のカジノ入場者の7割以上が、日本人であるという現状です。
 すべての先進国はもちろんの事、世界189ヶ国のほぼ3分の2にあたる116ヶ国が、既に世界のトップ産業である「国際観光」の集客の核として、カジノ産業を合法化し、膨大なインバウンド観光客を誘致し、莫大な経済効果や税収を上げている今、世界的趨勢に乗じて、国際観光の目玉であるカジノ産業を、日本国に導入すれば、膨大な新雇用と国際観光客、税収そして経済効果が期待できるばかりでなく、我々自身が、心身をリフレッシュできる総合カジノ・エンターテイメント・コンプレックス(複合体)を創設できる。それは万人の欲求、欲望を満足させ、幸せな時間をつくり出し、また楽しい癒しの時間消費に、万来の千客を魅了する21世紀のリゾートと成り得るに違いない。

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  構想の基本コンセプト
 すべての人が、心身をリフレッシュできる高規格・高品位の総合カジノ・エンターテイメント・コンプレックス(複合体)を創設し、国内そして世界中から集い、学び、働き、そして夢を持って生活ができるまちづくり。
 人間の本能(欲望)である刺激、興奮、感動そして癒しを、厳格にコントロールしつつ、上手く提供をし、誰もが魅力を大いに感じるまちづくり。
 その結果、交流人口延いては定住人口の増加、大規模な雇用の創出や経済的なクラスター効果、公共サービスの向上など、世界が羨むまちづくり。

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  構想のイメージ
 一粒食べたらすぐまた隣の一粒を美味しく食べられる葡萄の房(クラスター)効果を意識した時間つくりと時間消費の複合体産業の構築。
 テーマパークホテル、コンヴェンションセンター、ブランドからアウトレットまでの各種ショッピングモール、美味求真のグルメ街、心身癒しのドゥ・スポーツ、フィットネスクラブ、スパ、クアハウス、グランドショウ・シアター、プロスポーツアリーナ、バーチャル・ミュージアム、シネ・コンプレックス等々のクラスター効果をもつ複合諸施設の中核に、強力な集客力をもつゲーミング場・カジノをビルトインした高規格・高品位の国際観光カジノ・エンターテイメント・コンプレックス(複合体)・リゾート。


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  具体的な構想
 観光経済特区は、珠洲市蛸島町の既存のリゾート・ゾーンであるリフレッシュ村鉢ヶ崎周辺とし、まず第1次計画として珠洲ビーチホテル横に1,000室級のカジノ・エンターテイメント・ホテル誘致を計画する。観光経済特区の認定を受ければ国内外の大手ホテル会社の進出も容易に想像できるものであり、既存の客室数35室の珠洲ビーチホテルも相乗効果が大いに期待でき、しっかりとしたコンセプトに基づいたリニューアルも可能である。
 上記のカジノ・エンターテイメント・ホテル1基では、総合カジノ・エンターテイメント・コンプレックス(複合体)とまでは往かないが、国内で初期に観光経済特区の認定を受ければ、そのゾーンの中に、短期集中での複数の大型カジノ・エンターテイメント・ホテルの誘致が可能になるであろう。最終的には、10,000室と考えている。

 能登りふれっしゅ&ゲーミング・リゾート構想には平成15年開港の能登空港が必須条件であり、空港から30分という利便的な距離から鑑みて、ターゲットであるインバウンド観光客の足は空路になるであろう。
 開港まで半年を切った現在であるが、依然ANKが1便の乗り入れを表明しているのみである。その他は石川県を中心に積極的に国内航空会社へ要望をしているが、なかなか厳しい面があることは隠せない。
 仮説であるが、1,000室のカジノ・エンターテイメント・ホテルが75%の稼働率、平均室人員2名、滞在日数2日と仮定すると、1日に片道750名の輸送手段が必要となる。
 現在、能登空港で想定している小型ジェット機の定員は150名である。このホテルの宿泊客だけで満席としても5往復便が必要な計算となる。
 2,000メートルの滑走路も3,000メートル級に延長することは、用地問題等では可能でもあるらしく、その他の利用客を含めれば、定員500名のジャンボジェット機が数便乗り入れすることも可能と考えられる。
 そして、これから期待できる大量のアジア観光客を大いに視野に入れて、国際空港まで考える必要性もある。何故ならば、この構想は空港利活用の繕縫策では無く、能登の国際観光産業への参入であり挑戦でもあるからである。 
 第1次計画のカジノ・エンターテイメント・ホテルや、これの核となるカジノホールの運営であるが、国際観光産業への挑戦、そして立ち遅れた日本国内のカジノ産業の立ち上げという性質上、既存のイメージを優先する国内ホテル企業よりは、柔軟かつ積極性に満ちた外資ホテル企業、そして既にカジノ経営のノウハウを持った外資のカジノ企業が望ましいと考えます。例えばヨーロッパ・オーストリアの公社「カジノ・オーストリア・インターナショナル」などは、自国のみならず、後発カジノ創設諸国のカジノ建設や運営を請け負い、さらに船舶会社と提携をし、豪華カジノ客船30隻余りを世界の海洋に浮べて、大いに外貨を稼いでいる巨大企業である。昨年10月に公社副総裁ゲルハルト・スコッフ氏とウイーン近郊の保養型リゾート地であるバーデンで歓談をし、能登にカジノ創設の憂き目のときには、喜んで進出を検討する。との、回答を頂戴している。そして、国内のパチンコ産業もカジノ創設に、なんらかの形として、参画すべく検討している事は、業界紙を見れば多分に覗え、日本固有のスタイルが創生される可能性も考えられる。


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  構想がもたらす効果
 余りに多く、やる気でいくらでも大きくなれるので、なかなか試算は難しいものの、韓国に2000年10月28日にオープンした江原ランド・スモールカジノは現在、まだ200室の瀟洒なカジノ・ホテルが1棟であるが、年商466億円である。内容はスロットマシン500台、テーブルゲーム30台となっており、これに当てはめると、当構想の第1次計画だけでも年商2,330億円、雇用効果は約2,000人と考えられます。
 カジノ税であるが、それぞれの国情に応じてドロップ(ゲームの単純売上)とウイン(ゲームの儲け)の課税比率が異なってきますが、欧州各国、特にオーストリアやドイツ、ギリシャなどは、かなり高率に課しています。そしてイギリスやオーストリアなどは、カジノを合法化した主要な理由は、直接のカジノ税収もさることながら、違法カジノを撲滅し、ここに集まるアングラ資金を浮き上がらせ、正規の税収に寄与させる意味合いも大いにあります。欧州では、国営や公社スタイルも多く、ほとんどが国税としております。
 これと対照的に税率が低いのが、地方分権が徹底している米国各州のカジノであり、ラスベガスのあるネバダ州を筆頭にニュージャージー州、ミシシッピー州などは薄利多売でカジノ世界に君臨しており、各々の州税としております。
 珠洲りふれっしゅ&ゲーミング・リゾートでは、一挙に米国のように純民間運営が理想ではあるが、地方分権が先進民主主義諸国のように十分でないこの国では理想論で終わる可能性があります。
 名より実をとり、かつ、現在右肩下がりの地方競馬など公営ギャンブルの轍を踏まない形の公的管理民間運営法によるカジノ創設が、構造改革半ばのただ今この時点では適していると考えます。
 上記から勘案してカジノ税を考えると、国際観光産業であるから、控除率は低く、還元率が高くなければ競争力に劣る為、単純にならして、韓国並みのドロップの10%程度が理想と考えられます。とすれば、当構想の第1次計画のカジノ税は233億円となります。
 東京や大阪など都市が求める、地方自治の財源にと考えるカジノ地方税に対しては、能登りふれっしゅ&ゲーミング・リゾートは、交流人口延いては定住人口の増大、雇用の確保、波及する経済効果を求めるものであり、233億円の10%(韓国では100%国税とし、のち10%を地方にバックする)に留め、残りの90%を少子対策税(国税)として課税し、これを元資として「育英年金」を創設し、多産の奨励、そして育英する為に、親に対して一定の期間に年金を支給し、子育てを大いに支援する事を提言します。
 最終的な10,000室まで発展すれば、経済効果は2兆3千億円、雇用効果は2万人であり、波及効果まで含めると、この数倍を期待出来る事は、他の地域も誘致に大きく力を注ぐ事からも、うかがい知れるのである。


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  構想の実現に向けて
 国内では、先にも述べた通りカジノ法案を早期に議員立法化すべく、昨年12月に80名余りもの国会議員が議員連盟を旗揚げし、カジノ合法化にも積極的な平沼赳夫経済産業相の省内でも、進展する中国やシンガポールの活況と並ぶ経済特区制度設立の検討が進められ、内外の巨大資本を誘致する世界的なエンタープライズ・ゾーン計画やFAZ(輸入促進地域)制度を拡大適用する「経済特区」と、これと密接に連動する「カジノ構想」が、中央政府をも巻き込んで実現の緒に就こうとしている。
 この動きを睨み、平成14年4月に珠洲市議会に対して当会が「カジノ法制化に関する意見書の採択を求める請願」を提出し、6月定例会において圧倒的多数で請願採択、意見書を可決し、地方自治法第99条規定に則り珠洲市議会議長名で、内閣総理大臣ほか国の関係機関へ、カジノ法制化に関しての意見書の提出がなされました。宮崎市(のちに宮崎県も)や熱海市に次いで、全国で3番目の動きであり、これに続く自治体が今後続出するものと見られます。   
 珠洲市においては、原子力発電所立地計画の是非のみがクローズ・アップされているような状況ですが、このような本質的にまちを創生するプロジェクトに、本気で取り組まなくては、若者が定住し、活力が生まれる誇りのあるまちづくりは出来ないのではないでしょうか。
 そして、喫緊の問題となっている市町村合併にも、珠洲を一大リゾート地と位置付けることで、必ずや有効に作用するものと確信を致しております。
 我々のまちには、気概そしてベンチャー精神があれば様々な可能性が秘めているとの誇りを持ち行動しなければなりません。
 住民発動型での市民団体の全国に先駆けた積極的な取り組みや情報発信、半島振興・過疎振興、そして能登空港利活用の大きな切り札として、能登りふれっしゅ&ゲーミング・リゾートは非常に現実味のある構想であるのだから。


参考文献
【カジノ新ビジネスが日本を救う】
【カジノ産業が日本を救う/30万人新雇用の総合ゲーミング・プロジェクト】  
         共に日本カジノ学会理事長 室伏哲郎氏著 
                  「且j輝出版発行 03‐3403‐3261」 



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